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アスタリスク IP-PBXを導入 (3) - 外線と接続する - SIPトランクの利用

従来のPBXで外線に相当するのが、MINI100では二通り考えられる。インターネット電話番号やIP電話番号と呼ばれる、インターネット空間で使用される番号の接続と、従来のメタル線(欧米では銅線という意味のカッパーラインとも呼ばれる)の接続である。
 
ITSPとの接続

MINI100に於いては、前者のインターネット電話番号、もしくはIP電話番号への接続は、それら通信会社との契約が済んでいれば、別なハードウエアの追加なしに、設定ができる。そのようは通信会社のことをITSP (Internet Telephony Service Provider) と呼んでいるが、それらのサービスの中には、従来の固定電話回線 (PSTN) や携帯網との接続を可能にしているところが多い。またメタル線がなくても従来の固定回線や携帯電話からの電話を受信するために、PSTNと互換の番号をオプションで提供するところも多い。ITSPとしては、日本ではアジルフォン、フュージョンが有名。米国では、Gizmo、FWDなど。ヨーロッパではVoipBuster などが良く知られている。

MINI100にはFXOポートが付いていない。後者のメタル回線、つまり従来の回線で、日本ではNTTの回線が代表的なものであるが、それを接続するには、別にハードウエアを用意する必要がある。それらのハードは、VoIPゲートウエー、IPフォーンアダプター、ATAなどと呼ばれているものでFXOポートが一つ以上付いているものが必要である。それらのメーカーで有名なのが、リンクシスとか、グランドストリームなどだ。国産ではヤマハのルーターにそのような機能が付いている。これらの使い方はまた改めて説明する。

アジルフォンの番号を付加する

まず、インターネット電話番号の設定から始める。日本ではインターネット電話番号は、050が有名だが、これらは、インターネットプロバイダーの縛りがあり、契約時のプロバイダー以外のプロバイダーでは使えないことが多い。つまり、海外へ設置したIP PBXではその番号が使えないことがある。

そこでプロバイダーフリーで使えるインターネット電話番号として有名なアジルフォンの中の個人向けのアジルフォンプロサービスをウエブを通じて登録してみた。アジルフォンプロでは東京03 と大阪06の二つの局番を持つNTT固定電話と同じ形式の番号を選べる。選択できる番号がいくつか提示されるので、好きな番号を選択できる。今回は東京の番号、03 4590 0451 という番号を選んだ。ちなみに登録申請料が1000円、月次の基本料金が500円である。その他、この番号で発信すると通話毎に通話料金がかかるが、それもNTTの通話料金よりのかなり低めに設定されている。受信する場合は勿論受信者は通話料は無料になる。

申し込みが完了すると、先の番号の他に、アジルのCID (8で始まる7桁の番号) と、パスワードがメールで送られてくる。申し込み自体は1−2日程度で完了する。申し込みにあたって、クレジットカードの情報と日本の住所が必要になるが、この日本の住所に何か送られてきたことはない。"海外にお住まいの方でも日本に連絡先があればよい" との記述もある。

それらを、Inbound / Outbound > Trunks で設定。Server Address はsip.agile.ne.jp、DTMF Mode はRFC2833、Audio Codec はG.711-ulawを選択。Need Resgistration にチェックをいれ、Account とPassword をアジルから提供された情報を入れる。

アジルの設定1
 (agile1 Trunk ラインの設定をする)

この設定で発信はできるが、MINI100で、通話を受信することはできない。以下の設定も必要だ。 さっきと異なるのは、Registration 用にアカウント情報は入れないことと、Server Address がアジルフォンのサーバーのIPアドレスを直接記することである。

 アジルの設定2
 (agile2 Trunk ラインの設定をする)

以上が終了すると、下記のようなリストが作成される。

Trunk のリスト

さて、この他にInbound と Outbound の設定もしないといけない。Inbound / Outbound > Inbound でこの番号にかかってきたときのIP PBXの対応方法を指定してやる。IP PBXでは複数の内線番号を登録するから、そのうちのどのグループで呼び出し音が鳴る (Caller Groupの設定) とか、IVR (音声自動応答システム) で応答するとか、特定の内線だけが鳴るとか、である。

ここでは、IVR-1 の応答システムが応答するように設定した。IVR-1, IVR-2, IVR-3 と3通りのIVRを用意しておける。デフォルトは英語のままであるが、System Recordings というページでユーザーが用意した音声ファイルをMINI100へアップロードすることもできるし、内線電話から、コマンドを使って直接録音することもできる。この方法で日本語の応答システムや、社名で対応するシステムなどにカスタマイズできる。

以下がIibound の設定画面である。Inbound Number に s と記述した意味は、すべての発信者通知での対応はIVR-1で応答するという意味となる。発信者の通知番号が分かっている場合はそれぞれ別な応答方法が規定できる。

Inboundの対応
 (Inboundの対応方法を規定する)

最後に、Outbound を設定する。各内線から外線に掛けるときに、特定の番号を頭に付加して、掛けるとそのまま外線へ掛けることができるための、しくみだ。特定の番号をPrefix 番号というが、ここでは 99 の二桁番号をそのPrefix 番号とした。重要なのは、これが二桁であるから、Strip No.を2と入力する。つまり、アジルの交換機(これもアスタリスクだ)へ届くときは、最初の2桁を省いているわけだ。99はあくまで、MINI100が外線のアジルへ届けるために内部で使用している。999のように3桁の場合は Strip No.は3とする。

Outboundの定義
 (Outboundの定義)

気象庁の天気予報の番号へかける: 内線で掛ける時、99177
アジルが受け取る番号: 177 (99が省かれている)

となる。あとはアジルのルールに従うと、次のようになる。

東京の固定電話へかけるとき: 9903xxxxxxxx
大阪の固定電話へかけるとき: 9906xxxxxxxx
日本の携帯電話へかけるとき: 99090xxxxxxxx
台北の固定電話へかけるとき: 990108862xxxxxxxx
中国広州の固定電話へかけるとき: 990108620xxxxxxxx
中国の携帯電話へかけるとき: 99010861xxxxxxxxxx

MNI100は # (ポンドマークとか井桁と呼ぶ)を転送のコマンドキーとして使っているので、番号の最後に # を付けないほうがよい。

実際に通話をしてみよう

さあ、内線300番のIP電話機から東京の番号へでも掛けてみよう。VoIPモードでIP電話機VP5000 を利用する。受話器を上げるとダイヤルトーンがツーと連続音で聞こえる。ここに99177とダイヤルする。しばらくすると気象庁の天気予報が聞こえてくる。送信は成功した。

受信テストは東京にいる誰か頼んで、45900451 へダイヤルしてもらう。送信者には英語のIVRが、"Welcome. Please dial extension number, or press zero for operator" と女性の声が聞こえてくる。0 (zero) を押すと、呼び出し中の軽快な音楽が流れてくる。台北のIP電話機の300番が鳴っているのである。台北で内線300の受話器を取り、会話を開始する。受信も成功である。

これでこのMINI100が置いてある場所は台湾の台北市内であるが、仮想的に東京都内に置いてあるとの同じことになっている。東京から台北の通話は東京の市内通話になるわけで、掛ける人にとっても受信する側にとっても大変に経済的になる。

台北にいて、このMINI100 に接続したIP電話で東京の受信者へかけても、相手の発信者表示には 03 4590 0451 と表示されるので、あたかも東京から掛けているものだ錯覚することだろう。通話料金は、相手が固定電話だと、3分間で8.2円、通常のNTT料金よりも格安だ。

次回は、さらに別なITSPやDID (ダイヤルイン番号)プロバイダーを試してみる。米国(ワシントン州)の固定番号や、中国(広東省)の固定番号を取得してこのMINI100へ付加してみることにする。

>>> 続く

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